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ひととせの自由
第3章 郷に入っては俺に従え

え、やだ。

ていうか、超やだ。



だって何が待つかなんて、火を見るより明らかだし。
やだよ、ご飯中なのに。

つゆに浮かぶかじりかけのお揚げも、私に食べて欲しそーな雰囲気を醸し出しているし...うん。ここはひとつ、聞こえなかったことに......


「ひととせさん」


......なんてさせてくれないこの人は田中くんです。
外見と家事の偏差値がすこぶる高い田中くんです。
先生のお部屋から顔を出しこちらを睨...見てます。


「先生がお呼びです」
「......ハイ」

わかりましたよ、行きます。行きますよ。そもそも私に拒否権なんてありませんでしたもんね…ハハ…。

そんなわけで私は重い腰を上げ、田中くんの後に次いで四季先生のお部屋に向かった。しばしのお別れだね、私のおうどんちゃん...

──────────


初めて足を踏み入れた、主の部屋は。

..意外にも、ふっつーの和室(6畳くらい?)。
物が無く、ガラーンとした殺風景な部屋だった。


「や」

いらっしゃい。とこちらに掌を向けた四季先生も、いつもと変わらない可愛らしい笑顔。

それでも私の表情筋が引き攣っているのは、胡座をかいた先生の前に、先生にもたれ掛かるようにしてさっきのお姉さんが座っていたから。しかも、大股おっぴろげで。(おぱんつが脇に捨て置かれてるのを確認...)はは、予想以上だよ...

この部屋、窓にカーテンがない。磨りガラスだから外の景色は見えないけど、陽の光は入るから、その...お姉さんのその部分が...丸見えだった。

まがりなりにも私は看護師。自分以外の女性のその部分なんて、何回も見たことはある。ただそりゃみんな『処置』としてだ。

明らかに違うもん…『そういう』場面だもん...
ていうか、お姉さんアナタ嫌じゃないの??初対面の女に○○○晒されてるんだよ??さっきから先生の首に腕回して、キスをねだってるけど...(先生はテキトーにあしらってる)。

どうすりゃいいんだ。今まで生きてきて、経験したことない事態。呼ばれたものの何の指示もないし、田中くんも私の前に突っ立ってるだけだし。あああもうどうし


「田中」

一人で混乱してたら先生が田中くんを呼んだ。
...…『田中』?


「この子の、舐めて」
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