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BeLoved.【蜜月記】
第16章 【縮】BeLoved.

───────☙
「上がったよ」
ひと悶着(?)を経て、数十分後。
首からかけたタオルで髪を拭いながら。部屋着姿の麗さまが再び台所に姿を現した。
「あ…、ありがとうございました」
シンクの掃除をしていた手を止め、そちらに顔を向ける。
彼は冷蔵庫から取り出した飲み物を呷ると、経過を報告してくれた。
「さすがに一緒には入らなかったけど。未結に言われたとおり、野郎が入ってる間は目離さなかったよ」
「すみません…何から何まで」
「ううん。全然」
実は夕食後も続いていた、独りで入浴したい小さくなった彼と、独りでは入浴させたくないわたしの攻防。
収束させてくれたのはこの御方だった。
「行くぞ」の最後通告のもと、小さくなった彼は小脇に抱えられ、「離せ」だの「降ろせ」だの喚き散らしジタバタ暴れながら(不謹慎かもだけどかわいかった…)、洗面室へと連行されて行った。
「未結は絶っっ対ぇ入ってくんなよ!!」との雄叫びを残して。
入浴と言ってもシャワー(しかも光の速さ)で済ませた彼と入れ違いで、麗さまも入浴を済ませたとのこと。
そして流星さまは…そのまま自室に引っ込んだそうだ。
「でもなんで流星さま、お風呂、わたしとじゃ嫌だったんですかね?」
「たぶん、裸見られたくなかったんだよ」
「なんで今更…」
「そこは察してやって。…それより」
「?…ぁ」
いまいち分かりかねたけど。そこで思考は中断させられてしまった。
横に並んだ彼が、頬にキスをしてきたから。
「未結の言うこと、ちゃんと聞いたよ?」
「え…?…っあ」
いつの間にか背後に回られ、腕の中に囚われていて。
「、…っ、んん…っ」
キスは一度きりでも頬だけにでもなく、顎の線、米噛み、耳にも与えられる。
湯上りだから彼の体は温かいのに、飲み物を口にしたせいで唇は冷たい。
その不統一さは、彼が触れる箇所の感覚をより鋭敏にさせて…次に彼が放った言葉は──彼だけが知る貪欲なわたしを引きずり出していく。
「ご褒美、くれるよね」

