この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
BeLoved.【蜜月記】
第16章 【縮】BeLoved.

「俺今、すげー怖い」

──怖い。この人からそんな言葉が出るなんて。
驚いた…けど、無理もない筈だ。

彼は今、正真正銘の『子供』。
何故こうなったのかも、いつ戻れるのかも判らない。
まるで出口のない迷路に閉じ込められた心境だろう。

堪らず俯いてしまった。そのつらさを和らげてあげられる魔法の言葉は、見つからなかったから。

「今"何か"あったらって思うと、すげー怖いよ」
「ですよね…」
「いざって時、おまえのこと守れねーな、って」
「えっ?」

なんて?驚き見返した先には、見慣れた鋭い三白眼。
嘘偽りない…己の本心を伝える時に見せる瞳があった。

彼は続ける。

会社は最悪自分が退任しても何とかなる。
戸籍等々も、手に入れられる伝手はある(!)。

変な話、第2の人生(?)を始める事は叶う。
唯一、わたしに関する事だけは…叶わない。

それが怖い。と。


「り…」

ああ、ほんとうに、このひとは。こんな時まで。
自分のことより、わたしのことを想ってくれて。

「あと何がムカつくって、そーゆー時に一番頼れんのがヘタ麗ってトコなんだよな」
「す、既に助けていただいてますしね、色々と…」

心底不本意なのが伝わってくる表情と物言い。
苦笑で返しつつも、どんな時でも彼は彼であること、そして…わたしへの愛情を再認識させてもらったことで、わたしが感じていた緊張というか不安は、溶けていた。

だから、今度はわたしの番だ。


「、なに?未結」
「…わたしは!」

頬に柔らかくて甘い香りの髪があたる。
腕の中に華奢で繊細で温かい命がある。

魔法の言葉も模範解答もいらない。

少し前、流星がわたしにくれた言葉。
今度はわたしが、彼にそれを伝えた。


「あなたが生きてくれていればいいんです!」







「…うん」

返されたのは、小さな頷き。

「いざとなったらわたしが養いますからね!」
「あ、それはいい」
「え」
「女に喰わして貰うとか無理。あと"抱かれる"のも嫌」

そうのたまった彼はわたしの腕をすり抜け、「寝るわ」と我が物顔で布団に潜り込んだのだった。

「…もう!」

…出過ぎたかな。でも、少しは気が晴れたかな。
消灯し隣に座り直し、小さな背中を見つめながら独り反省会。いつしか寝堕ちてしまった耳に、『答え』が聞こえた…気がした。




「ありがとな、未結」
/171ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ