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誘蛾灯
第4章 転落危険
 弱った鼠を爪で玩ぶ猫の優越感に股間が熱くなる。
 「それだけは許して。」
 半べそをかく芳子の隣に席を移して細い肩を抱く。一度身動ぎするがそれ以上の抵抗はしない。
 「なあ、日当5千円で住み込みの家政婦しないか?食費その他は別にだしてやる。これなら半分の五年で済むぞ?」
 芳子の目に怯えが浮かぶ。炊事洗濯掃除で話が終わる訳がないのだ。察しているなら話しは早い。俺の手は肩から前に垂れ乳房を掴む。
 「い、嫌。」
 口では拒否しながらも身体は動かない。俺は手袋を外していない。900万円にはそれだけの重力があるのだ。
 「大人として世話してくれたら歩合で日当5千円プラスだ。」
 平たく言えば一晩5千円で抱かせろという事だ。こんな端金では神待ちのJCでさえ吊れはしない。
 「どうだ?知らない仲じゃないんだ。不特定多数にやられるよりいいだろ?」
 言外にソープランドに堕ちるかと問われて芳子は身を硬くする。
 「こ、婚約者が居るんでしょ?」
 最後のそして最強の切り札のつもりだろうが甘いな。
 「それがどうした?」
 余りにもの予想外の返答に二の句が告げれなくなって口をパクパクさせている。
 「さっき迄いた梅崎警部補覚えてるよな?」
 咲子が部屋を出てから三十分程しか経っていない。忘れるわけがない。返事がないのを無視して話を続ける。
 「あれはフィアンセ公認の愛人だ。」
 息を飲む芳子の胸を揉みながら言葉を継ぐ。
 「公認どころか一緒にセックスする仲だ。そんな愛人がもう一人と電話一本で駆けつけるペットが数匹いる。今更家政婦が一人増えたってどうということはないさ。」
 我ながら鬼畜な発言だが事実だ。フィアンセの美世子、愛人の初巳と咲子。その他に便女として放し飼いにしているのが朱鷺子を筆頭に十匹程いる。こいつらは電話すれば金を払って抱かれにくる。
 悪いな。俺はもう展望台で拗ねて寝てたガキじゃないんだ。あの頃惚れ憧れていた女を金の力で束縛し自由にしようとすることに良心の呵責など毛程に覚えない外道だ。
 柔らかい胸を揉まれ続け心は抵抗しながらも肉体は徐々に反応しだしている。時折漏らす息が甘くなるが咳払いで誤魔化そうとする。俺とセックスしてからの年月で何人の男を迎えたのだろう。逃げた亭主一人だけか?それとも何人か愛人でも居たか?いずれにせよ数年で丸味を帯びた身体を知ってる男が居る。
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