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誘蛾灯
第4章 転落危険
 例え一円でも返済してしまえば自分が連帯保証人だと認めた事になってしまう。
 「まあ、やってしまった事は今更言っても仕方ない。で、今幾ら集まったの?」
 「三百万円。」
 蚊の鳴く様な力のない声。
 「借金取りの連絡先判る?」
 俺の問いに姉ちゃんは無言で名刺を差し出す。書かれている会社をネットで調べたら案の定評判の悪い高利貸しだった。おそらく後ろには893が居るだろう。
 俺はもう一度溜め息をつくとスマホのダイヤルを押す。

 翌日の夜、訪ねてきた強面借金取りに元金利子纏めて払い穏便にお帰りいただいた。もう少しごねるかと思ったが立会人として呼んでおいた梅崎咲子警部補の手前大人しく借用書と領収書を置いて帰っていった。
 芳子姉ちゃんには昼の内にお金を貸してくれた知り合いに全額色を付けて返済させた。当然お礼分は俺が立て替えたので今回の出費は総額で900万円近くになったがそもそもがキャバ嬢から貰った泡銭だ。無くなって困る金でなし今の仕事やってれば半年、一年で取り返せる額だ。
 だが、借金は借金だ。俺の前には芳子姉ちゃんの名前で900万円借りたという念書がある。
 利息無しの10年払いとしてあるが手取り20万円程の姉ちゃんが月々7万5千円払って生活が成り立つとは思えない。一年、いや下手すれば半年で焦げ付くだろう。それは借りた本人が一番判ってるだろう。俺の前で小さくなってる。今までのは亭主が作った謂わば他人の借金だったが今は自分自身の借金だ。重さが違う。
 「これさ、本当に10年で返せるの?」
 念書の900万円の文字を指で叩く。コツコツと爪が天板を鳴らす度に姉ちゃんの肩がビクリと震える。これじゃ俺、完全に悪役だな。
 「無理だよね?家賃光熱費その他諸々払ったら手元に幾ら残るの?飢え死にされたり逃げられたりしたら俺が困るんだけど。」
 実際には踏み倒されても一向に構わないのだがそれはおくびにも見せない。
 「仕事柄お金稼げる夜の店沢山知ってるけど紹介しようか?お風呂屋さんなんかならあっと言う間に返せるよ。」
 姉ちゃんも初な女学生ではない。お風呂屋さんの意味ぐらい判ってる。真っ青になりガタガタ震える。この怯えきった姿なんとも言えない。
 「知らない男に抱かれるなんて嫌だよな?」
 俺の言葉が練っとりと芳子姉ちゃん、いや芳子の身体に纏わりつく。
 
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