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Secret space
第8章 8
「何をしている?」
「ぅひゃああ!!」
突然、男の声が背後から聞こえたので、紗織は素っ頓狂な声を上げた。
心臓が、跳ねた拍子に口から飛び出たかと思った。
オルゴールの音に全ての気を取られていて、男の接近に気づかなかった。
「部屋に居ないと思えば、こんな所に居たのか」
僅かに顔を曇らせた男の視線の先を辿ると、
紗織が今、その戸を開けようとしたその部屋だった。
そういえば、先ほどまで響いていたオルゴールの音色が
ぱたりと鳴り止んでしまっている。
・・・誰か、居るのだろうか?
紗織がその得体の知れない部屋を見つめていると、男が紗織の手を取った。
「戻るぞ」
「ねぇ!待って、あの部屋・・誰か 居るの?」
「誰も居ない」
「でも、さっきまでオルゴールが鳴って――」
手を引いて歩いていた男が、突然向き直ったので、紗織は口を噤んだ。
「あの部屋には 近づくな。
いいな?」
静かで冷やかな、無表情の瞳で
強く言われると、それ以上のことは聞けなかった。
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「ぅひゃああ!!」
突然、男の声が背後から聞こえたので、紗織は素っ頓狂な声を上げた。
心臓が、跳ねた拍子に口から飛び出たかと思った。
オルゴールの音に全ての気を取られていて、男の接近に気づかなかった。
「部屋に居ないと思えば、こんな所に居たのか」
僅かに顔を曇らせた男の視線の先を辿ると、
紗織が今、その戸を開けようとしたその部屋だった。
そういえば、先ほどまで響いていたオルゴールの音色が
ぱたりと鳴り止んでしまっている。
・・・誰か、居るのだろうか?
紗織がその得体の知れない部屋を見つめていると、男が紗織の手を取った。
「戻るぞ」
「ねぇ!待って、あの部屋・・誰か 居るの?」
「誰も居ない」
「でも、さっきまでオルゴールが鳴って――」
手を引いて歩いていた男が、突然向き直ったので、紗織は口を噤んだ。
「あの部屋には 近づくな。
いいな?」
静かで冷やかな、無表情の瞳で
強く言われると、それ以上のことは聞けなかった。
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