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Secret space
第9章 9
その日を境に
紗織は、自ら腰を使うことを覚えた。
あさましく男を求めて腰をくねらせる自分に、酷い嫌悪感を抱いたが
一旦、行為が始まると すぐに心底没頭して、羞恥心も頭から外れた。
男と共に高めあう行為は、何よりも況して快感だった。


屋敷に来て十日目の日、ほぼ通常どおりの周期で生理が訪れた。
紗織は、ほっと胸を撫で下ろしたが、その反面
いつかの夜、男が言っていたことは本当なのだと実感して
何故だか少し悲しかった。

一日、二日、三日目と紗織のこの日は頗る重い。
いつものように、身体を求めてくる男に、
口篭もりながらも理由を伝え、その間はやめてくれるよう頼んだ。
男は意外にもあっさり手を引いた。
しかし当然のように、口での行為を要求されたが そのころにはもう、
口や手を使い奉仕させられるのも、さほど苦ではなくなっていた。

自分の懸命な技巧に、男がわずかに漏らして呻く声は
堪らなくセクシーだと紗織は思った。
男の絶頂を導けたときは嬉しくて、そう言われた訳ではないのに
自ら進んで咥内に放出された白い液体を飲み干した。


その週が終われば相変わらず、
昼は学校に通い、夜になれば男に抱かれる生活が続いた。

男はおおよそ無口ではあったが、紗織が何か話しかけると
ふんだんに言葉を返してくれた。

だが核心に近づこうとすると、巧みにはぐらかされてしまう。
夜、その寝顔に問い掛けた切実な質問の答えは、未だ図れずにいた。
それが堪らなく不安で、悲しかった。
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