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第9章 9
不意にもたらされた情報に、
紗織が沈黙を守っていると、精司は面白そうに言葉を続けた。


「くっく、ああ・・・そうかぁ、なるほど。
 話が読めてきたぞ?

 じゃあもちろん、これも知らないわけだ。
 あの男が、お前を大金はたいて買った本当の理由を」


「精司様!!」


「お前は黙ってろ!」


厳しい口調で精司は、咎めるように声をあげた実和を黙らせた。
紗織に振り返ると一変して穏やかな口調で語りかける。


「なぁ・・・雅斗のヤツはお前に何もかも隠してるんだろ?
 それを俺が親切に教えてやろうって言ってるんだ。
 お前だって知りたいだろう?」


精司の、少し にやついたその表情は気に食わなかったが、
紗織は唾を飲み込んで こくんと頷いた。


「ようし、じゃあついて来いよ。
 実和、お前も来い」


そう言うと精司は部屋を出て、傾いた日の差す廊下を歩き出した。
この方向はあの部屋の方向。
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