この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Secret space
第9章 9
「この部屋はな・・・俺の姉だった女の部屋だよ」
だった と過去形で精司は言った。
「俺にとっては腹違いの、雅斗のヤツにとっては実の な。
生きていれば確か、実和、お前と同じ年だったよな」
振り向かれた実和が、部屋の入り口に佇んだまま、
悲しげに 長い睫の目を伏せる。
(実和さんの年齢・・・そういえば前、三十二って言ってたっけ。
全然そうは見えないから、とても驚いたのだけど)
「・・・・その人、死んだの?」
紗織は口の中で呟くように尋ねた。
「ああ、もう、ずっと前に。病気で死んだ。
体が弱かったのさぁ、その母親に似て」
精司はすいと、白いベッドの上に視線を移した。
「見舞いに行くといつも、このベッドに寝てたっけ。
ぞっとするぐらいな儚げな女だったなぁ・・
もうすぐ死ぬ女ってのは、こうも綺麗なものかと驚いたね。
ふふ。 おい、ちょっと ・・・こっちに来いよ」
「なっ・・・何なの?!」
部屋を見回していた紗織の細腕を、精司が強引に引っ掴むと、
ベッドに引きずってそこに押し倒した。
「きゃっ・・・何するのよ!!
嫌!!やっ!!放しなさいよっ!!!」
紗織は腕を振り解いてもがいて、
有りっ丈の力を込めて男を突き飛ばす。
「くそっ・・・暴れるんじゃねぇ!!」
予想以上に激しい抵抗を受けた男が、
紗織の横っ面を思いっきり殴りつけた。
「アッ・・・・・ぐ・・・・・」
余りの衝撃に悲鳴も出なかった。
目が回るような痛みと、顔を強烈に揺さぶられたショックで
紗織の視界は瞬間に暗くなった。
ちかちかする頭に、口の中で錆びた鉄の味がした。
だった と過去形で精司は言った。
「俺にとっては腹違いの、雅斗のヤツにとっては実の な。
生きていれば確か、実和、お前と同じ年だったよな」
振り向かれた実和が、部屋の入り口に佇んだまま、
悲しげに 長い睫の目を伏せる。
(実和さんの年齢・・・そういえば前、三十二って言ってたっけ。
全然そうは見えないから、とても驚いたのだけど)
「・・・・その人、死んだの?」
紗織は口の中で呟くように尋ねた。
「ああ、もう、ずっと前に。病気で死んだ。
体が弱かったのさぁ、その母親に似て」
精司はすいと、白いベッドの上に視線を移した。
「見舞いに行くといつも、このベッドに寝てたっけ。
ぞっとするぐらいな儚げな女だったなぁ・・
もうすぐ死ぬ女ってのは、こうも綺麗なものかと驚いたね。
ふふ。 おい、ちょっと ・・・こっちに来いよ」
「なっ・・・何なの?!」
部屋を見回していた紗織の細腕を、精司が強引に引っ掴むと、
ベッドに引きずってそこに押し倒した。
「きゃっ・・・何するのよ!!
嫌!!やっ!!放しなさいよっ!!!」
紗織は腕を振り解いてもがいて、
有りっ丈の力を込めて男を突き飛ばす。
「くそっ・・・暴れるんじゃねぇ!!」
予想以上に激しい抵抗を受けた男が、
紗織の横っ面を思いっきり殴りつけた。
「アッ・・・・・ぐ・・・・・」
余りの衝撃に悲鳴も出なかった。
目が回るような痛みと、顔を強烈に揺さぶられたショックで
紗織の視界は瞬間に暗くなった。
ちかちかする頭に、口の中で錆びた鉄の味がした。