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Secret space
第9章 9
りん ・・・ら・らら・・ろん・・・


力無く体を横たえて、憔悴しきった脳に
幾重にも重なった音の涼しげなオルゴールの曲が響く。

ふと 薄く瞼を開けると、部屋の棚台の上に据えられた置時計が、
ちょうど四時を示して優雅な音色を奏でている。
鼠がようやく通り抜けれるほどの小さな扉がぱかりと開いて
機械仕掛けの人形たちが、ぴょこぴょこと半円を描いて踊りを踊る。


(ああ  この置時計は早織お嬢様の一番のお気に入りの・・・)


ぼんやりした頭の中で実和は呟いた。


(どうしたのかしら? この時計はお嬢様が亡くなられてからずっと、
 いくら電池を替えても螺子を巻いても 動かずにいたのに・・・)


その澄み透る一変の乱れの無い調べが
きらきらと流れ終わる短い間にだけ、

実和は遠い昔の記憶を鮮明に思い起こして、
空中を浮遊するような気分に身を漂わせた。
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