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Secret space
第11章 11
「ご自宅からお電話が入っております」
昼も疾うに過ぎたころ、高嶋が男に声を掛けた。
「今は手が離せない。後にしろと言ってくれ」
「しかし急用のご様子ですが・・・」
男は受話器を取った。
「俺だ。どうかしたのか」
「旦那様・・・・・」
実和の声が受話器から流れた。
彼女に似合わず、僅かな動揺を含んで揺れている。
「紗織さんの様子が おかしいのです・・・」
それだけ言うと、実和は言葉を中断させた。
「・・・もう少し、詳しく説明してくれ」
男はちらりと時計を見やった。会議が始まるまで残り十分を切っている。
「朝、学校にと お起こし致したのですが、全くお起きにならず
昨日の・・今日でしたので・・・お疲れではと思い、
そのままお寝かせしたのですが・・・・
先ほども起こしましたのに、少しも目を覚ましにならないのです」
「お前の言う通り、疲れているのだろう」
「いいえ、頬を叩いても強く揺すっても、全く反応をお示しにならなくて・・・
余りにも不自然なのです。私、嫌な胸騒ぎが致しまして、こうしてお電話を」
「医者には見せたのか」
「いえ・・・まだです」
「ならばそうしろ。
もう時間が無い。切るぞ」
プツ と電話を切る。男はほんの数秒、視線を空に漂わせたが、
目を通した書類をまとめ、高嶋に手渡すと
慣れた足取りで会議室へと向かった。
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昼も疾うに過ぎたころ、高嶋が男に声を掛けた。
「今は手が離せない。後にしろと言ってくれ」
「しかし急用のご様子ですが・・・」
男は受話器を取った。
「俺だ。どうかしたのか」
「旦那様・・・・・」
実和の声が受話器から流れた。
彼女に似合わず、僅かな動揺を含んで揺れている。
「紗織さんの様子が おかしいのです・・・」
それだけ言うと、実和は言葉を中断させた。
「・・・もう少し、詳しく説明してくれ」
男はちらりと時計を見やった。会議が始まるまで残り十分を切っている。
「朝、学校にと お起こし致したのですが、全くお起きにならず
昨日の・・今日でしたので・・・お疲れではと思い、
そのままお寝かせしたのですが・・・・
先ほども起こしましたのに、少しも目を覚ましにならないのです」
「お前の言う通り、疲れているのだろう」
「いいえ、頬を叩いても強く揺すっても、全く反応をお示しにならなくて・・・
余りにも不自然なのです。私、嫌な胸騒ぎが致しまして、こうしてお電話を」
「医者には見せたのか」
「いえ・・・まだです」
「ならばそうしろ。
もう時間が無い。切るぞ」
プツ と電話を切る。男はほんの数秒、視線を空に漂わせたが、
目を通した書類をまとめ、高嶋に手渡すと
慣れた足取りで会議室へと向かった。
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