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Secret space
第11章 11
「と、とにかく暫く様子を見てみないことには何とも・・・」


「個室を用意して頂けますか。それと最高の看護も」


男の口から無機質な声が発せられる。


「ええ、それはもちろん」


医師は即座に首を縦に振った。
実際、新規入院患者の個室の確保は困難な状況ではあったが、
彼は自分がサービス業であり、目の前の男が金に糸目の付けない
これ以上になく優秀な顧客だという事を、誰よりも正確に認識していた。


「では、失礼させて頂く。仕事が有りますので。
 容態に変化がありましたら、こちらにすぐご連絡を」


そう答えると、連絡先を認めた紙を差し出し、立ち上がる。
皺のひとつも見当たらない高級そうなスーツの上着を翻して
男は部屋を後にした。



「旦那様! 旦那様・・・!」


病室に眠る紗織に脇目も振らず、
くすんだ淡い緑色のつるりとした光沢を放つ長い廊下を
エレベーターに向かって歩き出した男に
実和が夢中で追いかけ、声を掛ける。


「どうか、お待ち下さい!
 何故 一目もお会いにならないで・・・
 傍に 付いてお遣りにならないのですか?」


振り絞るような実和の声に、
男は足を止め振り返ると、真っ直ぐに向き合った。


「では聞くが、俺が今だろうと明日だろうと一日中だろうと
 付いてやったところで、それであいつが起きるとでも言うのか?」


「それは・・・分かりませんけれど・・・」


「では意味が無い。自己満足にもならない。
 処置ならもう医師に任せてある。

 俺はいつも通り、社に戻って仕事をこなした方が
 よほど効率的と言うものだ」


男の言葉に実和は愕然とした。
必死で男の目を覗き込む。その下の真意を測ろうとする。



「何て・・・仰りようですか・・・
 紗織さんが あのようにおなりなったのに、何故そんな平然と・・・」


「お前はここに残れ。
 必要なものがあったら適当に揃えろ」


言葉を失う実和を見限って、男は再び歩き出した。
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