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第11章 11
パン・ッッ・・・


冷ややかな冷笑を浮かべた男の顔に、実和が手を振り上げた。
標的の頬に到達するよりも、それを阻止して掴む男のほうが速かった。

 実和は手首を掴まれたまま、
その切れ長の美しい瞳に 今にも零れ落ちそうな涙を溜めて、男を見つめた。

もう、何度探っているのに、その心が全く見えてこない。
月の無い夜に覗き込んだ古井戸のように
光を知らない黒い眼の奥を、覗き込むことが出来ない。


「酷いのですね・・・。
 早織様が亡くなられた時もそうやって毅然と振舞われて・・
 それでも、あの頃はちゃんと 人間らしい心をお持ちでしたわ」


こんな完璧に、人を拒む目の出来ることが信じられない。
でも 目の前の男は実際に、そんな目をしている―――


「私は・・今まで一度も 何があろうとも
 人を 憎むなど 思いもしなかったのですが

 今、初めて人を憎みます。
 雅斗様を お憎み申し上げます」


「構わん。好きに思うがいい」


遂に目から雫を落とし始めた実和を、男は無感動に見つめて
掴んでいた手首を放した。


「他に言うことが無いのなら、もう俺は行く」


悲しく眉根を寄せて、
無言で見つめる実和を残して男は去った。

その後も実和は その場に立ち尽くしたまま、涙を零した。
顔を手で覆い、しばらくの間、その衝動を押し流すと、
踵を返して紗織の眠る病室へと戻っていった。
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