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第11章 11
 何の変動も迎えず、ただ一日が過ぎ去った。




 更に二日が過ぎ、三日が過ぎ、一週間が経った。


紗織の容態に何の変化も見られなかった。
ただ昏々と眠り続ける。
その病室に、男の姿が見られることは無かった。


 男は、普段通りの生活を送っていた。
朝は早く、会社へ行き、夜は屋敷に戻る。
ただ、紗織が屋敷に来る前の日々に戻っただけだ。

 例え何が起ころうとも、世界はその歩みを止めることはない。
その当たり前の事実を、一時も忘れたことはない。
人類が滅んだとしても、そ知らぬ顔で時間は流れてゆくのだろう。
緩慢な日常が、毎日同じ顔をして、目の前を通り 只、過ぎて行く。






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