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Secret space
第11章 11
 また更に、二週間が経過して、

男は初めて、
眠って目覚めようとしない
少女の横たわる白い病室の中へと足を踏み入れた。
目を開けない者の見舞いに、花を買うような酔狂さは持ち合わせていない。


 明るい薄黄色のカーテンをすり抜けて降り注ぐ
淡い日の光に照らされて、 浮かび上がる 眠る少女の青白い顔。
元々細身であった体は、更に痩せて細く見えた。
瞼は閉じられていて 微動だにしない体から生の息吹はまるで感じられない。


男は 微かに震える手を伸ばして、その血の気の引いた頬に触れた。

密着させた手のひらから 途端に伝わる温かいぬくもり。
しかし、それではまだ 確信を持ちきれず、その細い首周りに手をやる。

白く薄い皮膚下を通る血管の内側を、勢い良く流れる熱い血の水圧が、
男の指をどくどくと押し返す。


(生きている)


男はふっと停止していた息を吐き出した。
 一度感じたぬくもりを手放すことができず、
男はそのまま添えた手で紗織の頬を撫でる。
きめ細かさは少し失われたものの、その手に触れるなめらかさは充分であった。

何度も手をすべらせ、首の脈を感じては また頬に戻す。
こうして確かめていなければ、深淵に潜む不安が隙を突いて襲ってくる。

 形の良い鼻に差し込まれたチューブに、強烈な嫌悪感を覚えて、
男は、管を固定する白いテープを剥がし、右手に握り締めた。
流動食を流し込んでいたと思われる細い管は、
その薄茶色の残留物を内側にこびり付かせて、引っ張ると抵抗無く
ずるずるとした感触で抜けた。

余分なものを全て排除して、男は また 紗織の顔を見つめた。
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