この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Secret space
第13章 番外 前編
「私が言うのも可笑しいけれど、こんな裕福で物質的には全てに恵まれた家に、
しかも待望の長男として生まれてきたというのに、
あの子、誰にも愛されずに育ってきたのよ。
誰もあの子を、身を挺して庇おうとするほど想いを注ぐ人は居なかった。
私、それに気づいた時ね、私があの子を愛するのだって決めたわ。
私だけはあの子を誰よりも愛すのだって。
可笑しいわよね。私もまだ愛なんてろくに理解していない子供だったのだけど、
そう心に決めたの。
もとから二人、寄り添うように育ってきたけれど、あの時、はっきりとそう思ったわ。
それからは必死だった。私の出来得る限り雅斗の行く所行く所、全部に張り付こうとしたの。
習い事のときも、外へ行くときも 学校へは流石にちょっと、無理だったけれど?
お父様が来たときなんか、もうぴったりと横に引っ付いていたから、
よく雅斗に 向こうに行ってくれと嫌な顔されたぐらいよ」
早織はその様子を思い浮かべたのか、可笑しそうに微笑んだ。
そして尚も微笑んで言った。
「その甲斐あってか 一度、その場に遭遇することが出来て・・・、
夢中でお父様に取り縋って雅斗を守ろうとしたのだけど、
私の心臓のほうが耐え切れなくなったようで、発作が出てしまって。
情けないことに逆に助けられてしまったわ」
早織は ふふふ と笑う。
実和も微笑む訳には行かず、複雑な表情で返した。
しかも待望の長男として生まれてきたというのに、
あの子、誰にも愛されずに育ってきたのよ。
誰もあの子を、身を挺して庇おうとするほど想いを注ぐ人は居なかった。
私、それに気づいた時ね、私があの子を愛するのだって決めたわ。
私だけはあの子を誰よりも愛すのだって。
可笑しいわよね。私もまだ愛なんてろくに理解していない子供だったのだけど、
そう心に決めたの。
もとから二人、寄り添うように育ってきたけれど、あの時、はっきりとそう思ったわ。
それからは必死だった。私の出来得る限り雅斗の行く所行く所、全部に張り付こうとしたの。
習い事のときも、外へ行くときも 学校へは流石にちょっと、無理だったけれど?
お父様が来たときなんか、もうぴったりと横に引っ付いていたから、
よく雅斗に 向こうに行ってくれと嫌な顔されたぐらいよ」
早織はその様子を思い浮かべたのか、可笑しそうに微笑んだ。
そして尚も微笑んで言った。
「その甲斐あってか 一度、その場に遭遇することが出来て・・・、
夢中でお父様に取り縋って雅斗を守ろうとしたのだけど、
私の心臓のほうが耐え切れなくなったようで、発作が出てしまって。
情けないことに逆に助けられてしまったわ」
早織は ふふふ と笑う。
実和も微笑む訳には行かず、複雑な表情で返した。