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第13章 番外 前編
実和の静かに微笑む顔を、柔らかい表情で見つめて 早織は言った。


「いいえ。憎んでなどいませんわ。
 旦那様にそのような感情など抱くはずもございません」


それは本当のことだった。辛い日々ではあったが、彼を憎むことは一度も無かった。
不思議と、そのような感情は一度も沸いたことがなかった。
彼は津々井家の主であって、その命は絶対である それだけだ。

早織はじっと実和の顔を見て言った。


「・・・あなたも悲しい人なのね」


「え?」


「いえ、ごめんなさい」
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