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Secret space
第14章 番外 後編
冬の空気が、容赦なく寒さを増して重くなる季節に
早織の病態も悪化の一途を辿り始めた。
つい先月までは、病が完治したかのような好調さを見せていたのを
皆で喜んでいただけに、急に弱弱しい呼気を繰り返す早織の姿に、
心を痛めない者はいなかった。
元から部屋に引き篭もりがちだった早織は
いよいよベッドの上から起き上がることも少なくなり、寝たきりの状態が続いた。
彼女の主治医が、ひとしきり診察を終えた後、
沈んだ口調で、このままでは、春を迎えるのは難しいだろうと首を振るのを見て
普段は何事にも動じることのない当主が、
何か手立てがある筈だと、肩を怒らせ詰め寄ったのだと言う。
実和は以前よりまして、早織の部屋で 早織の傍について過ごすことが多くなり、
また雅斗も、屋敷に居るときは必ず早織の部屋に赴き、共に時間を過ごした。
実和と雅斗の間に、特別な会話が成されることはなかったが、
同じ時間を 同じ思いを抱いて過ごす者同士が感じる特有の仲間意識めいた
共通する感覚が 根付き始めたのは確かだった。
早織の病態も悪化の一途を辿り始めた。
つい先月までは、病が完治したかのような好調さを見せていたのを
皆で喜んでいただけに、急に弱弱しい呼気を繰り返す早織の姿に、
心を痛めない者はいなかった。
元から部屋に引き篭もりがちだった早織は
いよいよベッドの上から起き上がることも少なくなり、寝たきりの状態が続いた。
彼女の主治医が、ひとしきり診察を終えた後、
沈んだ口調で、このままでは、春を迎えるのは難しいだろうと首を振るのを見て
普段は何事にも動じることのない当主が、
何か手立てがある筈だと、肩を怒らせ詰め寄ったのだと言う。
実和は以前よりまして、早織の部屋で 早織の傍について過ごすことが多くなり、
また雅斗も、屋敷に居るときは必ず早織の部屋に赴き、共に時間を過ごした。
実和と雅斗の間に、特別な会話が成されることはなかったが、
同じ時間を 同じ思いを抱いて過ごす者同士が感じる特有の仲間意識めいた
共通する感覚が 根付き始めたのは確かだった。