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第14章 番外 後編
「ねえ、紗織さん」


くすくすと笑いながら実和は紗織に話し掛ける。


「ほら、あそこに松の木がありますわね」


「うん」


「あの木は桜を羨んでいると思われます?」


「は??」


「松の木は、花も咲かせず実も地味で、変わらぬ緑に華はない。
 桜のように咲き誇りたいと、桜のように幹下に集われ愛でられたいと
 そう妬んでいると思われますか?」


「??」


「桜も同じ。どんなに華々しく栄えても、時が移ろえば全て散って消えてしまう。
 跡形もなく散るのは嫌だと、松のように常に緑を茂らせたいと
 そう願っていると 思いますか?」


実和の問いの意味がさっぱり分からず、紗織は顔を曇らせる。


「・・・?? 変なこと言うのね。
 木はそんなこと考えないと思うけど・・・」


それを聞いて実和は頷いた。


「そうですわ。桜は桜。松は松。
 咲いて散りゆくことに、何の不満がありましょう。
 静かに緑を備えることに、何の憂いがあるでしょうか。
 ただ、自分を生きるだけ。 つまりはそう言うことですわ」


「???」


疑問符を飛ばす紗織を急き立てて、実和は後片付けを始める。


「そろそろ屋敷に戻りましょう? 紗織さん。
 春とは言えど、日が落ち始めると風は冷たいですわ」


敷いて居た茣蓙を丸めながらも紗織は ううんと低く唸る。


「ねぇ、実和さん・・・」


「はい?」


「何か忘れたけど、やっぱり誤魔化された気がする・・・・」
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