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Secret space
第15章 連続四夜 第一夜
そういえば
深い眠りから覚めたあの時も・・・
紗織を抱きしめて男は
長い間ずっと涙を落としていた覚えがある。

男は伏し目がちに、自分を見上げる紗織を見つめながらも、
また ぽとりと滴らせる。


「えっとね、じゃあ・・・ こういうのはどうかな・・・

 あの、ちょっと目を閉じていて」


紗織は身を起こすと上に這い上がって、
目を閉じた男の顔に手を伸ばし、その耳を胸の谷間に押し付けるように抱き寄せた。


「・・・・何をしている?」


「・・・・えっとね・・・ 聞こえない?私の音」


「・・・・」


「聞こえるでしょ? 心臓の音だよ」


私は ここにいるよ。  此処に 居る。


紗織は何時もされていたことを、男に返したつもりだった。
 泣くことなど造作も無い。
 お前を永遠に失った
 そう思った時を想えばこの胸はいつでも引き裂かれる
男がそっと動いて身を離し、紗織の唇を求めて来た時には
目から滴る涙は止まっていた。

重なった甘い唇を味わいながら 
紗織は静かに 強い決意を秘めて、心の内側からそっと囁きかける。


私は絶対に あなたより先には死なない。
最期のその瞬間まで 私は必ず傍に居る
一人残されるのはきっと辛い。 けれど
それがあなたを押し潰すのなら私が背負う。



その夜、情熱的な閃光が何度も脳裏にきらめいては焼きついた。
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