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Secret space
第16章 連続四夜 第二夜
涙が落ちそうになる前に、
もう閉ざされてしまったはずの視線を感じて、恐る恐る目をあげてみる。
予感は的中。
黒い双眸を開いた瞼からしっかりと覗かせて、男が面白そうに紗織を見つめていた。
『あーーっっっ!! あーーっ あーーっ あーーーっッッ !!!』
「どうした。何を泣く?
言いたいことがあるのなら言え」
いつもの抑揚の無い声だったが 紗織を揶揄する響きを含んでいる。
男はとっくに知っている。
知っていて言わせようとしている。
喉の奥から低く息を吐き出して唸る。
空焚きして噴き出る黒い煤のような煙が、自分の頭上に立ち昇るようだ。
「っ・・・・・・と・その・・
・・・ちゃんと・・・抱いて・・・」
紗織が しどろもどろに答える。
それを聞いて男は、くすり と笑い声さえ立てるように微笑んで、
絡ませた腕で紗織の身体をぐっと抱き寄せて言った。
「既に今、抱いているだろう?」
「・・っ・そうじゃなくてッ!!」
「では一体どうしろと?」
男が冷ややかな眼で紗織を見つめる。
『・・・・・仕返しだわ。
絶対、これは 昨日の仕返しだ・・・・』
自分の火のついた状態を見破った男は、それとはっきり口に出すまで
何もしないつもりだろう。
「っ・・と その、 して 欲しい・・」
「何をして欲しい」
「何をって・・・・分かっているでしょう!?」
「さぁな。お前のして欲しいことはよく分からん」
目を閉じかけて、小さく息を吐きながら男は真顔で言う。
実際、本音が入っている。
それを敏感に嗅ぎ取る能力は、紗織には備わっていなかった。
もう閉ざされてしまったはずの視線を感じて、恐る恐る目をあげてみる。
予感は的中。
黒い双眸を開いた瞼からしっかりと覗かせて、男が面白そうに紗織を見つめていた。
『あーーっっっ!! あーーっ あーーっ あーーーっッッ !!!』
「どうした。何を泣く?
言いたいことがあるのなら言え」
いつもの抑揚の無い声だったが 紗織を揶揄する響きを含んでいる。
男はとっくに知っている。
知っていて言わせようとしている。
喉の奥から低く息を吐き出して唸る。
空焚きして噴き出る黒い煤のような煙が、自分の頭上に立ち昇るようだ。
「っ・・・・・・と・その・・
・・・ちゃんと・・・抱いて・・・」
紗織が しどろもどろに答える。
それを聞いて男は、くすり と笑い声さえ立てるように微笑んで、
絡ませた腕で紗織の身体をぐっと抱き寄せて言った。
「既に今、抱いているだろう?」
「・・っ・そうじゃなくてッ!!」
「では一体どうしろと?」
男が冷ややかな眼で紗織を見つめる。
『・・・・・仕返しだわ。
絶対、これは 昨日の仕返しだ・・・・』
自分の火のついた状態を見破った男は、それとはっきり口に出すまで
何もしないつもりだろう。
「っ・・と その、 して 欲しい・・」
「何をして欲しい」
「何をって・・・・分かっているでしょう!?」
「さぁな。お前のして欲しいことはよく分からん」
目を閉じかけて、小さく息を吐きながら男は真顔で言う。
実際、本音が入っている。
それを敏感に嗅ぎ取る能力は、紗織には備わっていなかった。