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Secret space
第3章 3
 閉じた瞼の裏から感じた太陽の眩しさに、
耐え切れなくなって目を覚ました。

広い畳の部屋に格子の窓から差し込む光が
紗織のむき出しの肌を暖かく撫でる。

 起き上がると股の間がぬるりとして、下腹部が痛んだ。
羽織っていた布団をめくると、白いシーツに赤い染みが点々と落ちている。
紗織はため息をついた。

部屋に男の姿は無かった。
日光の差込み加減から、昼近くになっていると気づき、
学校に遅刻してしまった と習慣的に焦ったが、この際、学校なんて と肝を据えた。

 そのままボーっとしていると、廊下からこちらに向かう静かな足音が聞こえた。
慌てて布団で身を覆う。
音もなく開けられた襖から現れたのは
紗織より五、六歳年上の、まるで高級日本旅館の仲居のような装いをした
うなじの美しい、切れ長の目の美人だった。


「目をお覚ましになってらしたの?
 お着替えはまだのようですね。枕もとにご用意致しておりましたが。
 お手伝い致しましょうか?」


「いっ、いえ、結構です・・・」


 そう答えて慌てて枕もとに目を遣ると、
昨夜自分が着ていたものとは違う服が一通り用意されていた。
着物では無かったのでほっとした。


「それでは着替えがお済みになったころにまた参ります。
 朝食の用意が整っておりますから」


 そう答えると、女中(おそらくそうだと思われる)は
来た時と同じように音もなく襖を閉めて、去っていった。
顔は無表情に近く、言葉に感情は一切感じられなかったが、嫌な感じはしなかったので、
紗織は救われる思いだった。

 用意された服は、すっきりとしたデザインで仕立てられたノースリーブの白いワンピースだった。
着てみると、紗織にぴったりで、紗織の白い肌をより一層輝かせて見せた。

背中のファスナーを閉め終わると、
計ったように廊下から足音が聞こえ、襖越しに声をかけられた。


「お着替えはお済みになりましたか?」


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