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Secret space
第17章 連続四夜 第三夜
お前が好きだ
言おうとして男は止めた。
代わりにまだ荒い呼気を吐いている唇に吸い付いて
言葉をとかせた吐息を流し込む。
紗織はこくんと喉を鳴らして飲み込むと
艶やかに光る唇から ほう と嘆息を漏らした。
紗織のその様子を見ていた男は 胸の内の喜びが増して
自然と顔をほころぶのがわかった。
そんな自分に気付いて男は苦笑する。
まったく 泣くという行為を味わった時といい、
こいつと居ると自分の知らない一面に驚かされる。
男にとって笑うという行為は、
交渉ごとで優位に立ちたい時、物事を円滑にさせやすくする時、
いずれにしてもその場その場で、得られる効果を狙って用いるものだった。
決して自然に浮かべるものではない。
内から奥から湧き上るこの想いに形は無い。
こんなにも優勢に胸に根をはり占領しているというのに。
もし あるとするならば、今、
腕の中にかき抱いて感じることのできるその身体そのものなのだろう。
男は目を瞑る。
手ですくった水が、どんなに硬く指を閉じ合わせていも
その間から少しずつこぼれ滴っていくように
男の意識は眠りの闇に深く落ちていった。
言おうとして男は止めた。
代わりにまだ荒い呼気を吐いている唇に吸い付いて
言葉をとかせた吐息を流し込む。
紗織はこくんと喉を鳴らして飲み込むと
艶やかに光る唇から ほう と嘆息を漏らした。
紗織のその様子を見ていた男は 胸の内の喜びが増して
自然と顔をほころぶのがわかった。
そんな自分に気付いて男は苦笑する。
まったく 泣くという行為を味わった時といい、
こいつと居ると自分の知らない一面に驚かされる。
男にとって笑うという行為は、
交渉ごとで優位に立ちたい時、物事を円滑にさせやすくする時、
いずれにしてもその場その場で、得られる効果を狙って用いるものだった。
決して自然に浮かべるものではない。
内から奥から湧き上るこの想いに形は無い。
こんなにも優勢に胸に根をはり占領しているというのに。
もし あるとするならば、今、
腕の中にかき抱いて感じることのできるその身体そのものなのだろう。
男は目を瞑る。
手ですくった水が、どんなに硬く指を閉じ合わせていも
その間から少しずつこぼれ滴っていくように
男の意識は眠りの闇に深く落ちていった。