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第17章 連続四夜 第三夜
「・・・!!」


ヒヤリ とした瞬間に
男は大きく目を見開いて、紗織の肩に掛けた手を引っ込みかけた。

指先に触れた愛しい素肌は、生きる者の持つ温度ではなかった。

掛けた手に震える力を込め、冷たい肩を抱き寄せて 紗織の顔をこちらに向けさせる。


色褪せた唇は力無く弛んで、温かい呼気を吐くかわりに
端からとろりと冷えた 赤い血液が垂れ流れている。
半端に開かれた瞼から覗く双眸は、既に光を失い、
暗い虚を映してどよりと濁っている。


そう、夢であった筈の先ほどと同じ骸が
部屋に敷かれた床の中の、男の隣に転がっていた。

唯一、夢と違う点は、
どちらであるかわからなかった死体は 今は間違えようも無いということだ。

此処に居るのは紗織。
紗織が死んでいる。

振り上げた鈍器が一瞬にして振り下ろされ、のめり込むような衝撃が頭部に走る。

声にならない声が喉奥から迸り出る。

虫の喰うように白く眩んだ視界がスパークして―――
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