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第18章 連続四夜 第四夜
『あたたかいなぁ・・・』


頬をすり寄せてみる。その度に伝わるのは滑らかな表面。
同時に寄せた耳の奥の鼓膜を震わせるのは、
安らぎをもたらす熱の源を 力強く押し出す心臓の鼓動。
自分のものではない。


『あ、この音・・・うん、これ好き』


何やら抱きしめられる。


『気持ちがいい』


音のする方向へ手を伸ばしてみると、温かく密着する体温をしっかりと抱きとめることが出来た。
腕に力を込めると返事でもするかのように抱きしめ返される。
こうしていると、温かいのは自分の体温なのか相手のものなのか解からなくなる。
溶けてひとつになってしまったようだ。

ふふと笑みを洩らす。
そう、溶け合ってしまえば良い。
ずっとずっと こうして居れば、素肌が触れ合っているところから
ゆっくりと輪郭が解けて、本当にそうなれるかのように思えた。

しかし意識は、ふわりとして脆弱な白みの中から 段々と浮上をはじめる。

この日の朝、紗織は初めて 男の腕の中で目を覚ました。
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