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第18章 連続四夜 第四夜
白い病室で長い眠りから目覚めたときは、
光のすべてが反射して目の開けていられないほど眩しい真昼間だったと記憶しているが、
実は言うとあの時、あらゆる感覚が殻を被ったように変で、ぼんやりとしていて 余り覚えてはいない。

ただ、男の落とした涙が美味しかったことが酷く印象的だった。
なんとも滑稽な感想だが、長い間睡眠状態にあった為に
十分な水分と食事が摂れていなかったのだから必然的にそう感じたのだ。


『次の日はもう 普通だったしなぁ』


瞼を下ろした男の顔をじっと見ていると、また薄く開いて そこから光を映しこんだ瞳が覗いた。


『目・・・・ ずっと真っ黒だと思ってたけど、
 こうして 明るい中でよく見るとちょっと茶色だな』


まるで大発見をしたとばかりに、目を大きく瞬いてしげしげと男を見つめる。
紗織にとって男とは夜そのもので、その暗闇の中でだけ居る存在だった。

だから、初めて日の光の下で見る男は なんだか とても―――
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