この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Secret space
第3章 3
「居たのか」
不意に声を掛けられて、
紗織は悲鳴を上げて、文字通り飛び上がった。
開けられた障子には、スーツ姿の男が立っていた。
「ここは俺の屋敷だ。
俺が居るのがそんなに驚くことか?」
男は静かな物腰で部屋に入ると、
部屋の大きな椅子のひとつに腰掛けた。
「俺のほうこそ、お前がまだ
この屋敷に残っているとは思わなかったな。
帰ってもよかったんだぞ。
まさか鍵を掛けられていたわけでもあるまい?」
男が嗜虐的な笑いを含んで、紗織を見る。
「・・・・ざけないで」
荒れ狂う怒りに震えながら、
まだ掠れる声を振り絞った。
「あなたが! あなたがそうさせたんじゃない
あなたが!!
帰ってもよかったですって!?
私だってこんなとこからさっさと帰りたかった!!
すぐに帰りたかったわよ家に、家・・・
私の家に?
私を売った両親の家に!?
一体どんな顔して帰れというの!!
いったいどんな・・・・顔で
二人が、迎え入れてくれるというの・・・?」
自分の目から涙が留まりなく流れ出ていることに気づいた。
男の顔から微笑は消え、そっと椅子から立ち上がった。
紗織の頭の中で、答えが怖くて無理やりに停止していた思考が
怒りとともに、一気に流れ始めた。
不意に声を掛けられて、
紗織は悲鳴を上げて、文字通り飛び上がった。
開けられた障子には、スーツ姿の男が立っていた。
「ここは俺の屋敷だ。
俺が居るのがそんなに驚くことか?」
男は静かな物腰で部屋に入ると、
部屋の大きな椅子のひとつに腰掛けた。
「俺のほうこそ、お前がまだ
この屋敷に残っているとは思わなかったな。
帰ってもよかったんだぞ。
まさか鍵を掛けられていたわけでもあるまい?」
男が嗜虐的な笑いを含んで、紗織を見る。
「・・・・ざけないで」
荒れ狂う怒りに震えながら、
まだ掠れる声を振り絞った。
「あなたが! あなたがそうさせたんじゃない
あなたが!!
帰ってもよかったですって!?
私だってこんなとこからさっさと帰りたかった!!
すぐに帰りたかったわよ家に、家・・・
私の家に?
私を売った両親の家に!?
一体どんな顔して帰れというの!!
いったいどんな・・・・顔で
二人が、迎え入れてくれるというの・・・?」
自分の目から涙が留まりなく流れ出ていることに気づいた。
男の顔から微笑は消え、そっと椅子から立ち上がった。
紗織の頭の中で、答えが怖くて無理やりに停止していた思考が
怒りとともに、一気に流れ始めた。