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第18章 連続四夜 第四夜
「どうして? それがあなたの 名前じゃないの?」


「・・・そうだ。 だが呼ぶな」


舌打ちしそうな勢いで雅斗は目を逸らす。


『・・・私には呼ばれたくない  ってこと・・・?』


ぐしゃりと胸を潰された気がする。


『ど・・して?・・・ やっぱり、私じゃ、だめ なんだ・・・・・』


咽喉奥から刺々しくこみ上げるものに気づいて、慌てて飲み込みはしたが、
眼からぼろりと零れて落ちた。

目に見えないプレス機で圧された心が痛んで、元の形はまるでわからない。
一瞬で、陰惨とした暗闇の深淵に突き落とされたように 目の前に黒い影が差す。
息がつまってぼたぼたと目から雫が落ちる。
酷く混乱してしまっている自分が居る。

雅斗ははぁと小さく溜息を吐いて、少し息を止めると紗織を見つめた。


「分かった・・・・ 俺の名前を 呼んでみろ」


紗織もじっと雅斗を見つめた。

小さく震えてはいたが、その目から放たれるのは、
どんな微細な動きも逃さずに、地に伏せて狙う獲物を観察する
狩をする野生の豹の目の輝きと似ていた、


「雅斗」


声が耳に届いた瞬間、
雅斗はまっすぐ紗織の顔を見つめたままの目線が遠のき、微かに眉を顰めた。


『やだ!』


紗織はぎゅっと瞼を閉じて顔をそむけた。


「おい・・・・」


雅斗が紗織を抱き伏せる。
紗織は抵抗こそしなかったが、身を硬くこわばらせて雅斗の胸に抱かれた。


「・・・・今、あなた、私のこと見ていなかった」


「見ていた」


「違う!・・・私じゃない・・・  

 違う人を見ていた・・・」


紗織は、無理に抱き寄せられた雅斗の胸に顔を押し付けられながらも泣いた。


「・・・・・よく・・・分からない・・・」


雅斗は戸惑いを含ませた声でそう言った。
紗織の顔に唇を寄せると、眉を顰め閉じた瞳から零れ落ちる涙をすくう。
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