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第3章 ３

不意に腕の力が緩められ、体を離された。

胸に押し付けられていた顔が離れる。
男の手が伸びてきて、紗織の顎を掴むと、顔をあげさせた。
　男は紗織に口付けた。

紗織は、いつの間にか男の舌を受け入れていた。


「・ンく・・・ん・・・ム　・・・ふっ・・く・」


湿り気を帯びた男の唇は柔らかく、舌は唾液で滑って暖かかった。

舌を絡めとられて、
引き出されたり引っ込まされたり、
自分の唾液も相手の唾液も、
お互いの咥内ですっかりごちゃまぜになってしまうころには、
暴発寸前の思考はすっかりパンクして、
ただキスの感触を受け取るだけの受容体に成り下がっていた。

深く絡み合っていた舌が、不意に引き抜かれた。
濃厚なキスの余韻に、まだ頭の芯がくらくらした。


「この屋敷に居るといい。
　例えお前が去っていたとしても、
　俺はまたここへと連れて来ただろう。
　お前が抵抗しようとも。
　それは何処にいても同じことだ。

　お前はもう、俺のものなのだから」


ぽかんと開いた口に、再び男の舌が割り込んできた。
抵抗する間もなく、舌を絡まされていると、
背後に回された男の手が、
ワンピースのファスナーを下ろしにかかっていた。