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Secret space
第18章 連続四夜 第四夜
荒い呼吸が消えかけた時、雅斗は抱き寄せた紗織に囁きかけた。


「もう一度、呼んでくれ」


「・・・・・」


怖い。
言いたくはなかった。
けれど紗織をとらえる黒い瞳が許さなかった。
紗織は目の前の、自分を抱きしめている者の名を口から発した。


「・・・・ 雅斗」


その声を聞いて、雅斗の口元が静かに微笑んだ。


「・・今のは聞こえた。お前の声に。

 だが、すまない。これは理屈では無い。
 理由など聞きたくないだろうが・・・」


雅斗は紗織の顔にかかる髪を掻きあげ、滑らかな肌の頬をなでた。


「・・・・お前に・・・ずっと名を明かさずにいたのは
 俺は多分、恐ろしかったからだ。 その声で呼ばれるのが」


告白とも独白ともつかない口調で雅斗は言った。


「間違うな。 俺にはお前だけだ。・・他などない。

 お前は・・・ お前こそが間違ってくれるな」


喉を絞られたように囁いて、雅斗は眠りにつく。
その寝顔を眺めて、紗織は少し、胸が痛んだ。
初めて、はっきりと口に出された雅斗の言葉を 疑うべきではないだろう。
けれど白紙に垂らされた墨汁のように じわりと染み込んで広がる蟠りを、全て打ち消すのは難しかった。
秘めた奥底には、自分と同じ顔をして異なる存在が 強く根を張り彼を占領している
その事実は変えようも無い。
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