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Secret space
第4章 4
温かいお湯が体中をゆたゆたと包むと、
掻き乱れた心が少し、落ち着いていくのがわかった。
湯船のお湯をすくって、何度も顔を洗う。
惨めったらしく泣いていたなんて、あの男には知られたくなかった。


(はやく泣き顔をなおさなくては。
 風呂から出ればきっとまた、あの男は待ち受けているに違いない。
 逃れられないのならば、毅然とした態度で望んでやる。

 でもどうして、さっきはあんなにあっけなく、受け入れてしまったのだろう。
 さっきは)


 ドキン


思い出すと心臓が高鳴った。
男に手に舌に、触れられた時の感触が蘇る。
最後に深く抉られたときの、あの今まで決して味わったことも無い恍惚感。


(私ったら!何思い出してるの!!!)


髪の先からしずくを飛ばして、強引に頭から振り払う。


(ほんとうに、どうかしている・・・)


昨日といい、今日といい、思い出してみると行為の最中の自分は、
あの男から与えられる快感に、すっかり没頭してしまっていて、
まるで別人が、私を乗っ取っていたかのように思える。
日常も自分自身も何もかもすべてが
全く違うものに、すり替えられてしまったかのようだ。
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