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Secret space
第4章 4
(そうだ、学校・・・)


あったはずの自分の日常を思い浮かべる。
すると家の次に、大部分を占めているのが学校だ。
今日無断欠席をしてしまったことを思い出した。
いや、親が何か言い訳して連絡を入れているだろう。
すっかり通い慣れた教室の風景と、
いつもどうでもいい話をしては盛り上がった友達の顔が
まるでずっと見てなかったように、とても懐かしく思い出された。


(そういえば、貸してくれるよう頼まれたCDがあったなぁ。
 本も返さなくちゃならないし・・・)


 ガラリ


想いをはせる紗織の耳に、浴室の引き戸の開く音が聞こえた。
紗織は驚いて、揺らぐ水面を見つめていた顔を上げた。
白い湯気に浮かぶシルエットは、まぎれもなくあの男のものだった。


(なっ・・・なんて奴なの!
 ひとのお風呂にまでずけずけと入ってくるなんて!!)


紗織は反射的に、
両手で胸を覆って、身体を深く湯船に沈ませた。

男は、お湯に身を隠して精一杯睨み付ける紗織を、気にも止めない様子で
先ほどまで紗織が使用していた石鹸を手にとり、紗織に背を向けたまま体を洗い始めた。

 何か口をきかれたら、刺のある言葉で罵ってやろうと身構えていたのに、
まるで自分が居ないような態度を取られると、さすがに言う気も失せる。
紗織を無視し続ける男の背中を、目で殺すように睨み付けた。
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