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第4章 4
「ふ・・うく・・・」


紗織の言葉に反応したのか、男は律動を中断して、
湯の中で紗織を抱いたまま静かに言った。


「お前が、どんなに否定しても、事実は変わらん。
 受け入れろ」


そして、紗織の返答を許さないかのように、
いっそう激しく腰を打ち付けてきた。


「ああっ! うあっ・・・・・あああっ!!!」


 身体の奥の、一番気持ちのよいところが、
紗織を占める男の肉牙で激しく摩擦され、こすり付けらる。
紗織は言葉にならない声をあげた。
漂うお湯の中では、しがみついた男の体の躍動が余計に大きく感じられる。
閉じた瞳の瞼の裏が、一瞬で緋色に染まる。


「お前の肉体はもう受け入れているぞ」


そう囁く男の、声は聞こえていても、快感に占領された今の紗織の頭には、
その言葉の意味を認識する余裕など無かった。
せりあがるって来る絶頂と、それへの焦燥感と、頼りのない浮遊感で
自分の身体がこの浴槽の湯の中に、溶けていく感覚に襲われた。

 体の輪郭が、徐々にふやけて
 手の感覚も足の感覚も、それらが有るのかどうかさえも、もう分からない。
 ただ激しく律動する男の肉棒を受け止める、卑猥な肉の受容体だけが
きゅうと男を締め付け、収縮するのを感じた。


(ああ・・溶ける 融けてしまう・・・)


叩きつけられた水が波立ち音を出すように、口から最後の吐息を吐いた。


「ぁぅっくあ・・あっ・ああっ・
 ・・・ああ・ああ・あああ―――!!」


陰部から脊髄を駆け上って脳髄を直撃する絶頂の瞬間に、
紗織の意識も次第に融解し、拡散していった。
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