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Secret space
第5章 5
失神というよりも、のぼせたというほうが正しいだろう。
結果的に、長い間、あの浴槽に浸かっていたのだから。
お湯にふやけた身体が、まだ火照りを残して熱い。
紗織はこのまま寝たふりを続けることに決めた。
たぶん、起きたことを知られたら、また何をされるか、わかったものでは無い。
ひょっとしたら眠った状態でも、この男にとっては同じことなのかも知れないが、
まさか眠っているところを無理やりする ってことは無いだろう、おそらく。
勝手な憶測ではあるけれど。
そのまま目を瞑って、身動きひとつせずにいると、
紗織の頭から回された大きな男の手が、何度も紗織の髪に触れては撫でとかした。
もう片方の腕は腰にまわされ、時折男の身体へと軽く抱き寄せられる。
指で弄んだ髪を、顔に引き寄せては匂いを嗅いで、キスしている。
全く予想外の抱擁を身に受けながら、紗織は呼吸が不自然に乱れないように、
静かに息をすることに集中していた。
心の中の、目まぐるしいほどの気の動転を、悟られないようにするのに必死だった。
(何・・・してるんだろう、この人は。
こんなことされると、何だか・・・、
私の どこかが勝手に、変な勘違いをしそうで
いやだ。
こいつは、ただ、体目当てで私を買い取って・・・・
昨日の出来事といい、今日の振る舞いといい、私は この男の
性欲のはけ口にされてた、だけ・・なのに・・・、
こんな・・何だかまるで違った態度で、そんなふうに、
抱きしめられたまま、何か愛しいものを撫でるような手つきで、
髪や頭に触れられると、
胸が・・・、勝手に何故か 熱くなってしまう。
いやだ。何様のつもりなの。
今さらなんだというの。
なんで、こんなこと――― そんなふうに触ったりしないで!)
結果的に、長い間、あの浴槽に浸かっていたのだから。
お湯にふやけた身体が、まだ火照りを残して熱い。
紗織はこのまま寝たふりを続けることに決めた。
たぶん、起きたことを知られたら、また何をされるか、わかったものでは無い。
ひょっとしたら眠った状態でも、この男にとっては同じことなのかも知れないが、
まさか眠っているところを無理やりする ってことは無いだろう、おそらく。
勝手な憶測ではあるけれど。
そのまま目を瞑って、身動きひとつせずにいると、
紗織の頭から回された大きな男の手が、何度も紗織の髪に触れては撫でとかした。
もう片方の腕は腰にまわされ、時折男の身体へと軽く抱き寄せられる。
指で弄んだ髪を、顔に引き寄せては匂いを嗅いで、キスしている。
全く予想外の抱擁を身に受けながら、紗織は呼吸が不自然に乱れないように、
静かに息をすることに集中していた。
心の中の、目まぐるしいほどの気の動転を、悟られないようにするのに必死だった。
(何・・・してるんだろう、この人は。
こんなことされると、何だか・・・、
私の どこかが勝手に、変な勘違いをしそうで
いやだ。
こいつは、ただ、体目当てで私を買い取って・・・・
昨日の出来事といい、今日の振る舞いといい、私は この男の
性欲のはけ口にされてた、だけ・・なのに・・・、
こんな・・何だかまるで違った態度で、そんなふうに、
抱きしめられたまま、何か愛しいものを撫でるような手つきで、
髪や頭に触れられると、
胸が・・・、勝手に何故か 熱くなってしまう。
いやだ。何様のつもりなの。
今さらなんだというの。
なんで、こんなこと――― そんなふうに触ったりしないで!)