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Secret space
第5章 5
開いた目の神経に次第に映し出されたのは、木の天井と薄暗い部屋。
恐る恐る横に眠る男の方を見る。
そこには枕もとの微かな照明に浮かび上がる、全く無防備な男の寝顔があった。
閉じられたその瞼が突然開くのではないかと、びくびくしながらも、
紗織はその顔をじっと見つめていた。
すっと通った鼻筋に、僅かにへこみのある頬は顔立ちをよりシャープなものにしていて、
伏せた睫が縁取るその目元は、意外と彫りが深い。
紗織にはこの男の顔を間近でよく見るのは、初めてだった。
男と顔を合わせれば常にセックスを強要されたし、
だいたい、あの最中は、目を閉じているか、視界がぼやけているかで、
たまに目に映っても、全然意味のない、部屋の天井だとか、床の木目とか、
この男の、鎖骨の浮かび上がった肩の部分だけとか、
自分の肌の上を這う腕だとか、長い指先だけだった。
意識的に、目は合わないようにしていた。
その目に映る自分が、どんなに惨めな状態か
改めて思い知らされそうで、怖かった。
友達が見せてくれた芸能人の切り抜きなんかよりも、
この目の前にある顔のほうが、遥かに美形だと紗織は思った。
男の薄めの唇が少し動いて、わずかに開く。
その動きに、思わずびくっとして目を閉じた。
それ以上なんの動きもなく、相変わらすの寝息が聞こえたので、
また恐る恐る目を開いてみた。
(下唇なんかこうして見ると、
けっこうふっくらしていて、柔らかくて・・・
私、この唇と、キス・・・してたんだ・・・
あ・・・うわ 何、考えてるんだろ、もう)
慌てて目をぎゅっと瞑って、寝返りを打って男に背中を向け、身体を離した。
顔が勝手に、赤く熱くなってるのを感じた。
恐る恐る横に眠る男の方を見る。
そこには枕もとの微かな照明に浮かび上がる、全く無防備な男の寝顔があった。
閉じられたその瞼が突然開くのではないかと、びくびくしながらも、
紗織はその顔をじっと見つめていた。
すっと通った鼻筋に、僅かにへこみのある頬は顔立ちをよりシャープなものにしていて、
伏せた睫が縁取るその目元は、意外と彫りが深い。
紗織にはこの男の顔を間近でよく見るのは、初めてだった。
男と顔を合わせれば常にセックスを強要されたし、
だいたい、あの最中は、目を閉じているか、視界がぼやけているかで、
たまに目に映っても、全然意味のない、部屋の天井だとか、床の木目とか、
この男の、鎖骨の浮かび上がった肩の部分だけとか、
自分の肌の上を這う腕だとか、長い指先だけだった。
意識的に、目は合わないようにしていた。
その目に映る自分が、どんなに惨めな状態か
改めて思い知らされそうで、怖かった。
友達が見せてくれた芸能人の切り抜きなんかよりも、
この目の前にある顔のほうが、遥かに美形だと紗織は思った。
男の薄めの唇が少し動いて、わずかに開く。
その動きに、思わずびくっとして目を閉じた。
それ以上なんの動きもなく、相変わらすの寝息が聞こえたので、
また恐る恐る目を開いてみた。
(下唇なんかこうして見ると、
けっこうふっくらしていて、柔らかくて・・・
私、この唇と、キス・・・してたんだ・・・
あ・・・うわ 何、考えてるんだろ、もう)
慌てて目をぎゅっと瞑って、寝返りを打って男に背中を向け、身体を離した。
顔が勝手に、赤く熱くなってるのを感じた。