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Secret space
第5章 5
「さおりさん・・・そろそろお起きになってください。紗織さん・・・」
美しい口調のやさしい声で、紗織は目を覚ました。
開け放たれた障子からいっぱいの光彩と、艶やかに微笑んだ実和の顔が
同時に眼に飛び込んできた。
「あっ・・・・すっ、すみません・・」
意識が覚醒するやいなや、わけも分からず詫びの言葉を入れながら飛び起きる。
肌けた胸元に気づいて、急いでゆかたの襟を引き寄せる。
男の姿はもう無い。
「御気分はよろしいですか?何か飲み物をお持ちしましょうか?」
この人の笑みが心を和ませるのは、やはり綺麗だからだろうかと
ふと考えていると、返事がちょっと上擦った声になった。
「あ・・・っ その、大丈夫・・・です。
あの・・実和さん。今、何時ですか?」
正直、喉の渇きを覚えていたが、口には出せなかった。
「お昼の一時を回ったところですよ。
昨日、呼び捨てで構わないと申し上げましたのに」
「でも、そのほうが呼びやすいんです。
それじゃ、・・いけませんか?」
そう紗織が尋ねると、実和は口に手を当てて、ころころと笑った。
「本当に言う事までそっくりでいらっしゃる」
「そっくり?」
「さぁ、着替えを用意いたしましたので、どうぞお召し替えくださいな。
お食事のご用意も出来ておりますよ」
実和はまだおかしそうに笑いながら、部屋を出て行った。
彼女の言葉が気になったが、尋ねる機会を逸してしまい、
いつしかその事も、頭から離れていった。
___________________
美しい口調のやさしい声で、紗織は目を覚ました。
開け放たれた障子からいっぱいの光彩と、艶やかに微笑んだ実和の顔が
同時に眼に飛び込んできた。
「あっ・・・・すっ、すみません・・」
意識が覚醒するやいなや、わけも分からず詫びの言葉を入れながら飛び起きる。
肌けた胸元に気づいて、急いでゆかたの襟を引き寄せる。
男の姿はもう無い。
「御気分はよろしいですか?何か飲み物をお持ちしましょうか?」
この人の笑みが心を和ませるのは、やはり綺麗だからだろうかと
ふと考えていると、返事がちょっと上擦った声になった。
「あ・・・っ その、大丈夫・・・です。
あの・・実和さん。今、何時ですか?」
正直、喉の渇きを覚えていたが、口には出せなかった。
「お昼の一時を回ったところですよ。
昨日、呼び捨てで構わないと申し上げましたのに」
「でも、そのほうが呼びやすいんです。
それじゃ、・・いけませんか?」
そう紗織が尋ねると、実和は口に手を当てて、ころころと笑った。
「本当に言う事までそっくりでいらっしゃる」
「そっくり?」
「さぁ、着替えを用意いたしましたので、どうぞお召し替えくださいな。
お食事のご用意も出来ておりますよ」
実和はまだおかしそうに笑いながら、部屋を出て行った。
彼女の言葉が気になったが、尋ねる機会を逸してしまい、
いつしかその事も、頭から離れていった。
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