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Secret space
第5章 5
「・・・ふ・・・は・・、うん・・ん・・・・」


 何度味わっても、自分の咥内を他人の舌が這い回る感触には慣れそうになかった。
目を閉じて、手のひらを堅く握って耐える。
舌と舌が絡み合うと、くちゅくちゅと音がした。
黒板に爪を引き立てるくらい、とても嫌な音だと紗織は思った。

 男の腕が、紗織の腰をきつく抱き寄せ、
顎に添えられていた手が、上気した頬を撫でて耳に触れた。


「あっ・・・くん・っ・・・っ・
 ・・・ふ・・・っ・・あ・む・・ん・・・」


 初めの時で、そこが弱点であるのを知ってからというもの、
男は何らかの形で必ず、紗織の耳を刺激しては、その反応を楽しんでいるようだった。

それは今回も同じで、
小さな叫び声をあげて、思わず大きく開いた紗織の口に、
男はさらに深く舌を進入させてくる。

だんだん口の中の容積を占めてくる、自分のものかも男のものかも分からない
無味な液体を、紗織はこくりと喉を鳴らして飲み下した。

腰に回された男の手が、紗織の衣服の下に入り込んで仰け反った背中を這うと、
ブラのホックをぷつりと外した。


「ふっ・んく・・・・はあっ・・あ・・まっ・・、待って。
 ・・う・・・その、せめて部屋に・・・・」


「ん? そうだな」


 男はまるで、初めてここが廊下だと気づいたかのように周りを見渡した。
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