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Secret space
第2章 2
 紗織はしなやかな動作で後ろに飛び後ずさると、自分の背後の襖を開けた。
すぐに何組かの寝具が二段に分けて積んである光景が目に映った。
押入れだ。

あわててもう一方の襖に駆け寄ろうとするのを、
いつのまにか、すぐ背後まで来ていた男が制した。


「っ!!」


とっさに振り上げた両手を、男は掴むと
いとも簡単に紗織を畳の床に敷かれた寝具に組み敷いた。


「いやぁあっ!!!」


恐怖の言葉が口を突いて出る。
紗織は逃れようと必死になって暴れた。
しかし男は腕は遥かに力強く、紗織の動きはますます制限されるばかりだった。


(このままじゃいくら暴れでも無駄だ・・・)


そう観念した紗織は一切の抵抗をやめ、ぐったりと顔を横へ倒した。
男の顔なんて、絶対見たくなかった。
見ず知らずの男に、こうやって押し倒されている状況が
何よりも屈辱的だった。

紗織の荒い息が一通り収まると、
男は紗織の白い首筋に口づけ、舌を這わせた。


「何するの!!」


紗織は顔をふって再び暴れた。
男はすぐに口づけをやめたが、精一杯の抵抗は先ほどと同じで、
何の効果も得られなかった。

紗織は泣きたくなった。
いや、泣きたくなったというのは間違いだ。
すでに涙が頬を伝っていた。

男に涙を見せることが悔しくて、余計に泣けた。
歯をくいしばって横を向いて、一体どうしたらこの状況から抜け出せれるのか、
必死で考えを巡らせた。
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