この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Secret space
第7章 7
 着慣れた制服に袖を通し、紺色のスカーフを胸元で結ぶ。
肩より長い髪は結べと言う 根拠の無い校則に則って
髪を一本に纏めてゴムできゅっと縛る。

折り目のある教科書に、色とりどりのノート、
そしてお気に入りの物を揃えた筆記具。
鞄に付いたパステルカラーのキーホルダーは、その色が少し褪せている。
見慣れた自分の持ち物を前に、紗織は無性に嬉しくなった。


(ええと、今日は木曜だから、英語に数学、化学と、現国――)


 それらの持ち物を浮かれた気持ちで、時間割通りに揃える。
久しぶりに行うこの単純な作業は、
いつもの自分に今から戻るための、儀式のようなものに思えた。

ささやかな喜びの最中でも、その用意された経過を思うと、
紗織の気持ちは一気に暗く、沈みかける。

慌てて気を取り直して玄関へ向かう。
 実和が靴を用意して待っている。


夜の暗闇の中、不安の気持ちで見上げた門を
今度は内側から颯爽と飛び出して、紗織は三日ぶりに屋敷の外へと出た。

紗織を待ち構えていた黒光りの高級車には、正直、面食らった。
自分が居たこの屋敷の、詳しい位置を知らないので、
学校への交通手段はどうなるものかと困ってはいたが、
こんな車で学校に乗り付けては、どんな噂が立つが分かったものではない。

 近くの駅かバス停までの道を教えてもらえれば自分で行けます

そう言い張って、なかなか車に乗ろうとしない紗織を、
実和は 人の目に付かない処で降ろさせますからと優しくなだめて、
後部座席に乗り込ませると、笑顔で見送った。

 紗織は一旦乗り込んでしまうと、学校への道のりの間
車外の風景に目を走らせ、位置の把握に努めた。

その結果、どうやらあの屋敷は、
家の最寄の駅から快速で、二駅ほど離れた辺りの奥まったところにあるようだ。
学校へは決して通えない距離ではない。
 凡そではあるが、屋敷の存在する場所を確認したことで、紗織は少し安堵した。



___________________
/303ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ