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第7章 7
「今日の紗織って、何かちょっと変だったから」


「そう?普通だよ」


「でもなんかさ、どこかおかしいっていうか・・・
 すごく嬉しそうにしてたと思ったら、突然悲しそうだったりして。
 あ!! それって ひょっとして!!   好きな人でもできた?」


「まさか!!
 なんでそうなるのよ、恵は」


「なぁーんだ、違うの? おかしいなぁ。
 間違いないって思ったのに。

 紗織って、自分のこういう話題、なかなかしてくれないよね。
 あたしのは全部知ってるくせに。

 まぁ、あたしが一方的に話してたのもあるけどさ」


 恵は一ヶ月程前、中学の頃から好きだった隣のクラスの葉山君と
念願かなって両思いになり、以来二人は自他ともに認める熱愛ぶりだ。

少しむくれた顔をして恵が言ったので、紗織はそれを見て笑った。
恵はすぐに真顔に戻って、顎に手を当てたまま、小首を傾げて何やら考えている。


「そういえば、前に紗織、あたしに聞いたよね。
 恋愛の『好き』って、どういう『好き』なのか分からないって」


「何?突然・・・。
 まぁそれは確かに 聞いたけど?」


 恵は時折、突発的に話題を変える。
意識的になのか。関連性があるのかないのか。


「あれね、あたしなりに考えてみたんだけど・・・、
 好きかどうかってさ、頭でどうこう考えてなるものじゃないって、思うんだよね」


恵は、話している間中、宙を彷徨わせていた視線を
紗織の瞳へと戻して、少し間を置いた。
そして悪戯っぽく微笑むと、紗織の胸の谷間を軽く人差し指で突付く。
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