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Secret space
第7章 7
届くはずもない言葉を、心の中で囁く。
嗚咽の代わり、ただ静かにぽたぽたと 目から滴り落ちる塩水が、
制服の紺のスカートに、丸い染みを幾重も作る。

 この世にたった一人の父と母が、そんなにすっぱりと切り離してしまったら、
他にいったい誰が、私を必要としてくれるというのだろう。

このまま目から体中の水分全て染み出して、
干からびて死んでしまえばいいと思った。

 やがて公園を包みだした夜の闇も、今の紗織の心の闇には、
比べ物にならず、敵うはずも無い。



  ・・・ーン・・ヴーン・・ヴーン

絶えず鞄の中から流れる振動音に気づいて、
紗織はほとんど無意識にその震源物を手に取った。


「・・・・はい」


着信ボタンを押し、掠れ声で短く返事だけをした。


「今、どこに居るんだ?」


 男の 声がした。
 また新しく、涙が零れた。
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