この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Secret space
第7章 7
紗織が途切れ途切れの言葉で、どうにか自分の居場所を告げると、
男はすぐに行くと言って電話を切った。
本当に 男はすぐやって来た。
車から降り、砂地の地面と微かな足音を発して、
ブランコに腰掛ける紗織の前に立った。
闇に溶け込む色のスーツを着こなしたその立ち姿は、
遊具の散らばる公園にあまりにも不釣合いで、浮き上がって見える。
男はゆっくりとした動作で、地面に置かれた紗織の鞄を持ち上げると、
まだ涙を零している紗織に手を差し伸べた。
「行くぞ」
紗織は戸惑いながらも、その手を取らずに、ただ無言で立ち上がった。
無視をしたのは自分からなのに、胸が痛むのも自分だった。
結局、無理やり手を引かれ、乗り込んだ車の後部座席で、
紗織が静かに玉のような露を目から零していると
男は 紗織の濡れた瞳に口付けた。
止め処なく流れる涙に、その度に口寄せられる。
また零しては、また吸い取られる。その繰り返し。
「もう、やめてよ・・・やめて、 そんなこと」
紗織は堪らず声をあげた。
「お前が泣き止んだらやめてやる」
男が紗織の固く閉じられた瞼に、口付けながら答えた。
男はすぐに行くと言って電話を切った。
本当に 男はすぐやって来た。
車から降り、砂地の地面と微かな足音を発して、
ブランコに腰掛ける紗織の前に立った。
闇に溶け込む色のスーツを着こなしたその立ち姿は、
遊具の散らばる公園にあまりにも不釣合いで、浮き上がって見える。
男はゆっくりとした動作で、地面に置かれた紗織の鞄を持ち上げると、
まだ涙を零している紗織に手を差し伸べた。
「行くぞ」
紗織は戸惑いながらも、その手を取らずに、ただ無言で立ち上がった。
無視をしたのは自分からなのに、胸が痛むのも自分だった。
結局、無理やり手を引かれ、乗り込んだ車の後部座席で、
紗織が静かに玉のような露を目から零していると
男は 紗織の濡れた瞳に口付けた。
止め処なく流れる涙に、その度に口寄せられる。
また零しては、また吸い取られる。その繰り返し。
「もう、やめてよ・・・やめて、 そんなこと」
紗織は堪らず声をあげた。
「お前が泣き止んだらやめてやる」
男が紗織の固く閉じられた瞼に、口付けながら答えた。