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Secret space
第7章 7
 やがて車が屋敷に到着し、連れられ入った部屋の中でも
男は絶えず涙を流し続ける紗織の身体を静かに抱きしめて、
赤く充血したその目元に口付けを繰り返す。


「・・・何度そんなことしたって無駄よ。
 私、もうずっと 永遠に 泣き止みそうになんてないもの」


諦めようとしない男の動作に、紗織は少し苛立ちを覚えて
刺のある言葉を男に投げつけた。


「だったら、俺もずっと永遠に 続けるまでだ」


 顔を反らそうとする紗織の顎を片手で掴んで、
新たに目から浮き上がった涙を、
男が寄せた唇から小さく舌を出して絡めとる。


「わ、わかったわよ!
 もう泣き止むから、だからもうやめて・・・」


そんなことをされると、理由の違う涙が溢れそうになる。

ぴったりと覆っていた防護壁が酷く脆く崩れ去り、
剥き出しになった何の守りもない心に、
温かい腕の中で口付けられるその行為は 何よりも増して危険だ。

 胸がきりきりと締め付けられる。
このままでは心臓が、壊死を起こして死んでしまう。
喉元に、せりあがるものを飲み込むと、胸を刺して下半身へと押し流れる。

こんな時に、優しくするなんて 反則だ。
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