この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Secret space
第8章 8
 涙が 完全に乾いたのを確かめて
男は紗織を自分の胸に抱き、小さく息を吐いた。
紗織はされるがままに、男の暖かい素肌に頬を寄せ、体を密着させた。
 空白の頭に すでに身体に馴染んでしまった男の体温と力強い鼓動が響く。

男の手が、紗織のなめらかな肌の表面を滑って、頬を撫で、髪に触れる。
引き寄せた額に、その柔らかな唇を軽く押し付けられる。
同時に男が深く呼吸をしたので、目を閉じた紗織には、
自分の皮膚を介して男の鼻腔に吸い込まれていく空気に
過敏に成らざるを得なかった。


「あのさっ・・・今日、まだお風呂に入って無いし・・・
 一杯 汗かいてる・・し・・・・ 匂い嗅ぐの やめてよ・・・」


紗織は男の顔を見ないまま、何とか声を振り絞った。


「そんなことは無い。いい匂いだ」


男はさらに鼻の頭を紗織に押し付け、くんと軽く鼻を鳴らした。


「もう!! どうして・・・」


「俺としては、あの匂いも好きだが?」


(あの匂い?)


意味が分からず、きょとんとする紗織を、
男は、悪戯な色を浮かべた瞳で見つめながら
おもむろに 自分の右手の人差し指と中指を軽く鼻先に添えると、
その残り香を嗅いだ。


(・・それって、まさか・・・・)


一瞬の考察の後、思い当たった事実に
頭部へ血液が全て逆流を起こし、顔が緋色に染まるのを感じた。


「ちょっとやめてよッ・・!!」


紗織は、がばりと飛び起き、男の右手を強引に引っ掴むと、その行為を止めさせた。
熱を帯びた顔から白い蒸気が立ち上る気さえする。


(なんてヤツなのなんてヤツなのなんてヤツなのッッ!!)


キッと鋭い音が立つように睨んだ視線の先、
軽い爽快な笑い声と共に 破顔した男の顔が、
紗織の視界に飛び込む。

信じ難い光景を前に、紗織の思考の時が止まる。


「どうかしたのか」


その顔を、目を見開いて見つめる紗織に、
身を起こした男が少し真顔に戻って言った。


「いや、その そうやって笑うと、けっこうかわいいかなって・・・ぇぇっと」


 そう言ってしまって初めて、自分の発した言葉に気づき、
紗織は決まり悪そうに言葉を濁した。
/303ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ