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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第16章 疼き①
「ああ、そうだ。フィーネ、この間……」

 二人の間で、たわいもない会話が続いていく。

 この国で流行っていること。
 城の者がおかした、笑える事件。
 庭の花が見頃だということ。

 会話を続けるため、色々と話題を掻き集めたのだろう。ぎこちなくも、穏やかな会話が進んで行く。

 彼女を思い、必死で言葉を紡ぐ主の心遣いに、フィーネは微笑みながら相槌を打っていた。

(この方は、とてもお優しい。その優しさに、報いたい)

 自分ができることは、一つしかない。

 何度目かの沈黙が場を支配した時、フィーネは思い切って口を開いた。
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