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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第16章 疼き①
 そんなことを考えながら、フィーネは高鳴る心音とともにドアを開け、魔王を迎え入れた。

「仕事がひと段落してな。良かったら、休憩がてら一緒に茶でも……」

「はい」

 主人の言葉を断るなど、ありえない。
 そう教え込まれてきたフィーネなので、魔王の申し出を断る選択肢はない。

 だが、彼を客間へ案内する彼女の表情は、心からの喜びが笑みとして浮かんでいた。

 魔王が客間のソファーに座ると、アンジェラが相変わらず見事な手際で二人分のお茶と軽食を用意する。
 全てを終え、フワフワ頭を一つ下げてアンジェラが退室すると、フィーネと魔王は二人っきりになった。

(今日は、どうされるのかしら?)

 この先を想像すると、自然と気持ちが高まり、期待で身体が熱くなってくる。だが気持ちを悟られぬよう、フィーネは澄ました顔でお茶を飲んだ。

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