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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第17章 疼き②
「魔王様。私は、役目を果たさなくて良いのでしょうか? 毎日、このように自由に過ごしていて、良いのでしょうか?」

 フィーネの切迫詰まった声に、穏やかだった魔王の表情が陰りを見せた。そして深く息を吐き出すと頷いた。

「もちろんだ。自由に過ごすといい」

「し、しかし! それでは、あなたのお役に立てません!」

「焦らなくていい。今は心を癒すため、休むほうが先決だ」

「心を……癒す? 私の心は何も……」

 自分の心の何が悪いのだろう? とフィーネは困惑した。
 しかしそれ以上の説明を拒むように、魔王の言葉が重なる。

「とにかく、ゆっくり過ごすこと、それがお前の役目だ。必要なものがあればアンジェラに言え。用意させよう」

 有無を言わさぬ強い口調に、フィーネはそれ以上反論できなかった。
 しゅんっと、気持ちが萎む。
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