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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第3章 魔王③
(いくら私を襲った相手でも、あんな惨劇を見るのは嫌。彼らは私の力に目が眩み、過ちを犯しただけなのに)

 フィーネにとって、自分のせいで誰かが死ぬほうが辛い。
 たとえ、自身を襲った相手であっても。

 自分さえいなければ、彼らも過ちを犯すことはなかったはずだから。

(だから封印されると聞いた時、もう誰も私のせいで殺されないと、安心していたのに……)

 神官たちの強さは、今までフィーネを襲った男たちの末路話によって、世間一般にも伝わっている。

 神官の存在を告げれば、目の前の男もフィーネの力を諦めるだろうと踏んでいたのだが、彼の返答は思いもよらない内容だった。
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