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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第24章 疑問②
「私から聞きにくいことではあるのですが、何故魔族の皆さんは、敵である人間の私に、友好的に接して下さるのでしょうか?」

 アンジェラも初対面のフィーネに優しく接してくれたことを思い出す。

 ティーポットにお湯を注ぐ手が一瞬止まった。しかし全てを注ぎ終え、保温カバーを被せると、アンジェラはフィーネに視線を向けた。

 いつも元気なアンジェラの瞳は、どこか曇って見える。

 やはり聞くべきことではなかったのかと、フィーネの心に後悔がよぎった。

 アンジェラは少しの間瞳を伏せると、どこか決意を固めた強い視線をフィーネに向けた。

「ここだけの話です、フィーネ様。人間による侵略戦争は、この国の一部の魔族たちしか知らないのです」

「……え?」

 予期せぬ回答に、フィーネの口から驚きの声が上がった。
 
(皆、何も知らないと思ってはいたけれど、戦争をしていること自体、知らないなんて……)

 そんなこと、可能なのだろうか?

 しかしそれが本当なら、この国が穏やかすぎるのも納得がいく。
 
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