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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第25章 花
「何だか暗い話になってしまいましたね、申し訳ございません、フィーネ様」

「あっ……いいえ、そんな。私から尋ねたことですし……」

 アンジェラが苦笑いをしながらフィーネに謝罪をしたので、慌てて首を横に振った。

(アンジェラさんは、きっとこの話を終えたがっているんだわ)

 話を断ち切る様に謝罪した彼女の行動を見て、そう思った。

 他にも疑問はあった。
 しかし、それ以上の質問を口にするのは止めた。

 フィーネも、人間たちが女神の偽物に騙されているなど考えたくはない。ひとまず女神の偽物疑惑は、横に置いておくことにした。

(ピアチェ様の件はともかく、大きな収穫があったわ)

 魔族たちは戦争の事実を知らない。それならば、フィーネも口にしないように気を付けようと心に決めた。
 自分に親切にしてくれている魔族たちが、心労からくる病で倒れる姿を見たくはない。
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